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2010年12月6日月曜日

「武士の家計簿」を観た

公式サイト

日本映画ではこのところ時代劇がだいぶ目につくようになってきましたが、
そんな中でも異色といえるこの映画を先日観てきました。
ナイトショーでしたが、客層としては年配の人が多かったです。

ひとことでいうと、本作はまさに「猪山家の人々」といった内容の作品で、
実在する加賀・猪山家の「入拂帳」について書かれた新書をもとに、家族の数十年を追っています。

基本的にストーリーの舞台となっているのは猪山家の周辺と城内の御算用場で、
それ以外の場面はそれほど描かれてませんが、江戸時代の屋敷の持つ開放感のせいか、
狭苦しさはまるで感じさせませんでした。

それにしても、森田監督の出世作「家族ゲーム」を思い出した人も多いはずで、
とにかく直之が算盤をはじくシーンと同じくらいに、家族が食卓を囲む場面が強く印象に残る。
「鯛じゃ鯛じゃ!」に代表されるストーリーの要所にも絡んでいるし、
時の流れ、家族構成の移り変わりを見せるのにも一役買ってたりする。
そこで交わされる家族の間のおおらかで、どこかとぼけたやりとりも面白いです。
人々のピンとした背筋に端正な美しさはあっても、堅苦しい空気はありません。

何しろ幕末とはいえ封建時代を窮屈に描くことなく、自然にみせているところが魅力的です。
また、「さっきもこんなシーンあったな…あれ、っふふ」というような場面描写が流石という感じ。
他にも、登場人物の内面が特に強調される場面(駒が関わることが多い)などでは、
フェードアウトを長めにとっていて、観る人に一呼吸考えさせる間を持たせてたように思いました。
特筆すべきは…女性たちの衣装が本当に洒落ている。派手過ぎないけど彩り豊か、というか。
母上が着物に執着するのも納得、まさにこれが加賀か…といった雰囲気。

俳優陣は…そういえば、まるでNHKのドラマみたいなキャスティング。
まあNHKは関わってないが、劇場で特に年配の人が多かったのも頷ける。
それはさておき、基本的には脇役陣がおいしいところを持っていってる感じでした。

一番は中村雅俊演じる父・信之。お人好しを絵に描いたようなキャラクターが愛嬌たっぷりで、
「遊び」の少ない性格の直之との対照が面白い。今は東大で知られる赤門の話が自慢。
その妻の常を演じる松坂慶子は、もうまったく想像通り。驚きこそないけれど、抜群の安定感。
草笛光子演じる算術好きのおばばさまも、飄々としつつほっとさせてくれる雰囲気が良い。
駒の父・与三八役の西村雅彦は新鮮でした。意外にもクセの少ない、朗らかな役柄。
ああいう役の西村氏も面白いなあ。もっと見てみたい気がします。
また、少年時代の直吉役(青年の成之より出番多し)の大八木凱斗君は、
あどけなさの中に複雑な心境をみせる表情が印象的で、胸にせまるものがありました。
それに加えて、出番はほんの少しですが、嶋田久作演じる大村益次郎もなかなかのインパクト。
口調が武士とは思えないような現代風で、新しい時代をみる目のある人物らしい風格でした。

堺雅人演じる主役の猪山直之、そして仲間由紀恵演じる妻の駒。
二人は強烈な個性を押し出すことはないものの、話が進むほど、
その人となりに寄り添った描写に味わいが出てくる。
堺雅人の演技では個人的に、西村雅彦との剣道の立ち合いのシーンで、
ふと彼が演じた「新選組!」での山南敬助の姿が頭を過ぎり、
その剣術の強さの違いにクスリとさせられた。
婚礼の日の強張った表情も、普段のにこやかなイメージがあるだけに面白かったりしました。

あと触れておきたいのは、仲間由紀恵の演技、ちょっと今までにないものになってたと思います。
彼女にはテレビドラマっぽい演技というか、感情表現が大袈裟な印象がずっとあったが、
ここでは違っていた。「削ぎ落とされた」と本人が語るキネ旬のインタビューを読んだ限り、
その辺りは森田監督の指示が大きいみたいですが、演技のギアチェンジがスムーズというか。
ギアの段そのものが増えたというか。祭りの日にかんざしを買ってやろうという直之に、
これを、と安いのをさりげなく選ぶくだりとか。うまかったと思う。

※ ※ ※

幕末〜明治にかけての日本人のすがたを探った名著「逝きし世の面影」を手繰ると、
武士に限らず当時の人々が自然と「潔さ」「前向きさ」を備えていたようにも思いますが、
それでもストーリー中盤での家財道具を一気に売り払うさまは、見事としかいいようがなかった。
直之の実直さとその潔さに、剣の腕の優劣からでは計れない「そろばん侍」の矜持をみた気がします。
ただ、父から子へとその役目の持つ重みや心構えがどのようなかたちで受け継がれたのか、
とあるエピソードを通して直之はそれを息子に伝えようとするのだが、
あれは少し厳し過ぎはしないかと感じるのは、自分が現代人だからでしょうか。

物語が進んでいくと、息子の目から見た父とのやりとりが増え、二人の間にそうした衝突も起こる。
改めて冒頭に登場する明治十年へと時代は移るが、成之がはじくのは同じ算盤でも、
その仕事場は完全に洋風…たかだか十数年でこうも時代が変わったのか…と感じずにはいられない場面。
帰郷、父子の和解、家族それぞれにとっての思い出の日のリフレインにしんみりさせられた。

観終えた後で自分が感じたのは…日本にいながら日本に回帰したい感情、とでもいう何か…。
なかなか言葉にするのが難しい気持ちでした。良い映画だと思います。

余談ですが、この映画、パンフレットが算盤のデザインになってます。
ユニークだとは思うけど…幅が極端に横長で、写真が小さくしか載ってなくてちょっと残念でした。


【参考】武士の家計簿 - Wikipedia
【参考】堺雅人が憧れる“格好いい男”とは? - YOMIURI ONLINE

2010年11月29日月曜日

David Lynch監督がエレクトロ・ポップシンガーに?

David Lynch releases solo electronic single – FACT magazine: music and art

FACTより。
「エレファント・マン」や「ツイン・ピークス」「マルホランド・ドライブ」等の作品で知られる、
あの映画界の巨匠、デヴィッド・リンチ監督がなんとシンガーとしてデビューシングルを出した模様。
リンクはこちらです。

試しに聴いてみた感想としては…あれ?生声じゃないのか…残念?
しかしながら、意外とポップというか、聴きやすくて驚いた。
多彩なことで知られる監督いわく、音楽は "It’s another magical medium." だそうです…さすがに重みがありますね。


【参考】デヴィッド・リンチ - Wikipedia

2010年11月26日金曜日

Derezzed (Breakdown Remix) - トロン・レガシー公開記念…か?

Gotta Dance Dirty™ | Electronic Music Blog: DAFT PUNK's DEREZZED gets the BREAKDOWN

いよいよ公開の話題作「トロン・レガシー」
それに合わせて…というわけでもないでしょうが、
Breakdown氏によるいかしたリミックスが上がっていたのでご紹介。ダウンロード無料。

Daft Punk - Derezzed (Breakdown Remix) by Breakdown

いやもう、予告編からしてだいぶ前から煽っていたただけに、
今回のリメイクには期待せずにはいられません。ちなみにサントラの方は12月15日発売です。
3Dでのこの世界観を早く堪能したいもんです。。

2010年11月23日火曜日

「Rano Pano」Mogwaiの新作より。

Listen: Download new Mogwai track 'Rano Pano' / Music News // Drowned In Sound

Drowned in Soundの3日前の記事に紹介されてましたが、
来年2月に発売が決定したMogwaiのニューアルバム『Hardcore Will Never Die But You Will』から、
リリースに先行して「Rano Pano」という曲が無料でダウンロード可能になってます(要メアド)。



アルバムとしては個人的に怪作『Mr. Beast』の路線をまた期待してしまいますが、
この「Rano Pano」もノイジーな中にゆらめく陰影が何ともいえない叙情を感じさせてくれる曲で、
来たる『Hardcore Will Never Die But You Will』への期待も膨らむというもんです。
興味のある方は是非、聴いてみてください。

2/11追記: アルバム「Hardcore Will Never Die, But You Will」がストリーミングで先行配信されています。
詳しくはこちら

2010年11月10日水曜日

高画質・無料アイコンセット集 on Smashing Magazine


50 New Free High Quality Icons Sets - Smashing Magazine

Smashing Magazineより。
今回も凄いクオリティのアイコンが目白押しです…基本的に私的利用限定の作品が多いですが、
デスクトップのカスタマイズにもってこい。
さしあたり用途が思いつかなくても、目が欲しがるようなデザインはただ眺めてても楽しいです。

個人的に気に入ったもの。
Notes and Evernote - デフォルトのEvernoteアイコンに飽きたら使ってみたい。
Blue Vinyl Fonts - アナログ盤&レコードケース!カッコいい!iTunesのアイコンにもこのくらいのセンスが欲しいよな。
High-res Browser Logos - ブラウザアイコン。Firefox, Google Chrome, Safari, Internet Explorer等。


【おまけ】50 New Free High-Quality Icon Sets (with Easter Icons!) - Smashing Magazine

2010年11月7日日曜日

Daft Punkの楽曲を8-bitで奏でるカバー集


TILT™ Los Angelesからのエントリーにて、
俗に云うピコピコサウンドでのDaft Punkのカバー集(全11曲!)が無料で紹介されてます。
ダウンロードは上記記事の"Pick up the full album Daft Punk - Da Chip Album here."から。
ちなみにファイルはrarで圧縮されてますので、適宜ツールで解凍して聴いてみてください…ということで。

感想ですが、何というか、8-bitで…というのが実に彼らをカバーするに相応しいコンセプトだな〜と思いました。
Daft Punkは最新鋭の…というより、80年代から未来を想像する…的な趣きを持っているように感じるので。

個人的には2曲目、Randomさんによる「Short Circuit」が好み。
ファミコンの音…というより…これはSEGAだ。凄く。「カルテット」ってゲームを思い出した。

元の楽曲の魅力を再確認するという意味でも楽しい内容です。
Daft Punk好きな人、ピコピコアレンジ・オタクの人、エレクトロ・ミュージックファンの人。
おすすめです。是非聴いてみて!

余談ですが↓を聴いてみる限りでも、来たる映画「トロン・レガシー」のサントラも期待を寄せずにはいられません!

Daft Punk - Derezzed by valternylima

2010年11月6日土曜日

Emancipator - Soon It Will Be Cold Enough - 冬の街の音



カナダ出身、20歳そこそこの気鋭アーティスト・Emancipator。
でも音づくりにはどこか英国っぽさというか、軸となるヒップホップのビートがあり、
空間的なピアノがあり、ケルト風バイオリンもあり、ふわふわとゆらめきつつも時にノイジーなギターがあり、
それらを配合した先に描かれるモノクロな陰影にセンスが光り輝いております。

短い秋の日和に時々凍えるような夜の訪れるここ数日ですが、
このEmancipatorのサウンドは…いまの季節から冬にかけての時期に聴くには本当にピッタリです。
いうなれば、顔に冷たい北風を浴びながら味わいたい音…という感じ。気持ち良い。おすすめ!


【参考】emancipatormusic.com

2010年11月5日金曜日

SoundCloudが世界各都市のアーティストをピックアップ。

SoundCloud Local: Vancouver

プロ・アマの枠にとらわれないクラブミュージック系の巨大コミュニティサイト、SoundCloud。
彼らが新たに、世界各国のそれぞれの都市で活躍するアーティストを5人ずつ取り上げていく、
「SoundCloud Local」というコーナーをスタートしたとのこと。

覗いてみると、初回はカナダ・バンクーバーからとなっており、
メジャーな音楽に拘らない人でもおそらくその名前を見るのは初めてという人ばかり、
…ではあるが、だからこそ、そのユニークな出会いのもたらす新鮮さが何とも楽しいです。
一人目のK.M.Krebsさんの「作品」なんて、日本の祭の実況録音もあったりするし。

今後も気になる人が見つかりそうで、興味深いコーナーになりそうです。

2010年10月5日火曜日

Nine Inch NailsのCloserとマリオサウンドを混ぜると…


YouTube - Nine Inch Nails - Closer (Super Mario Mix)

結構前から有名なやつですが、またマリオネタです。
強引なところ無きにしもあらず、しかし上手いこと混ぜ合わせたもんだなあ…

2010年9月25日土曜日

人の死の傍らに寄り添う猫・オスカー

photo
オスカー―天国への旅立ちを知らせる猫
デイヴィッド ドーサ 栗木 さつき
早川書房 2010-02
評価

by G-Tools , 2010/09/25


認知症や末期がんにかかったお年寄りが入院する病院で、
医師を勤める著者が語る、そこに暮らす不思議な猫の物語。

ステアーハウスで飼われている猫のオスカーは人懐こさこそないが、
死の床でやがて旅立つ患者を感じ取り、死ぬまで添い寝をする。
明らかに先の長くない患者に限らず、医師でもわからないような、
突然の死がおとずれる患者の元へも、オスカーだけが気づいて寄り添う。
そして、それが間違っていたことはないという。

本にある愛らしいオスカーの写真を見ても、別段その辺にいる猫と変わらないが、
病院にいる猫の中でもオスカーだけがそうした特殊な能力を持っていて…
当初は懐疑的だった著者も、同僚のメアリや複数の遺族らの話から、
やがてそれを信じざるを得なくなっていく。

動物好きであるかないかに限らず、
臨終の際にオスカーが側にいてくれたことを感謝する声は、
本の中だけでも非常にたくさん出てくる。
ここで描かれている病床で添い寝するオスカーの様子は、おかしな表現だが、
とても献身的で、また、死を厳粛なものと受け止めている風にも感じられる。

動物と会話することはできないけれど、
それでもコミュニケーションができた!と根拠もなしに確信することがある。
もしかしたら人も猫も何かにふれた時に同じ気持ちでいる瞬間が、
思ったよりずっとあるのかもしれないと、この本を読んでいて感じました。

ふと、ある曲の歌詞を思い出した…サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」(歌詞)。
不思議と重なるものがあって、なんだかジーンと来ます。



ちなみに、現在公開中の映画「ネコを探して」(公式サイト)にも、
オスカーが出演しているとのこと…上映されている映画館が少ないのが厳しいところですが、
機会があれば是非観に行きたいと思います。

Google Chromeアドオン最強の音楽ブラウザ「ExtensionFM」

ExtensionFM


これはかなり凄い。対応しているのはGoogle Chromeのみではあるものの、
この拡張機能をインストールしてPitchforkやSpinner、SoundCloudといった音楽サイトや、
HypeMachine等に音源をアップしているブログ、ポッドキャストに対応したRSSを読み込んだりなど、
音楽関係のリンクを気ままに巡回していると、そこから自動的にデータベースを作成して、
Google Chrome上のライブラリに取り込んでいき、自分だけのWeb上の音楽プレイヤーを作り上げてしまうというもの。

また、Last.fmのScrobble機能にも対応しており、
Settingsからサービス同士を接続(事前にLast.fm側の設定から、言語をEnglishにしておく)することで、
再生した曲の履歴を送信することも可能。他に、Tumblrとの連携にも対応している。

使ってみて感じるのは、何しろ動作が軽快なのと、思いもよらない音楽と出会う偶然性が面白い。
ポッドキャストやミュージックアグリゲーション関係のサービスに飽きた時なんかに是非。
あとはTwitterやMySpace等との連携もできれば最高のツールになりそうです。

2010年9月24日金曜日

「悪人」を観た

公式サイト

この「悪人」というタイトルからイメージされるような言葉ほどには、
単純に割り切れない人間のさまざまな表情が、姿を現しては消えていく作品。
時に剥き出しになる人の「ありよう」にむかっ腹も立ち、いじらしさも感じ、
また、そこから生じるやるせなさに呆然とさせられた。

観終えた後、何か感想を言おうにも容易に言葉が見つからない複雑な感覚と、
凄い映画にふれた高揚感・充実感に揺さぶられ、余韻がしばらく収まらなかった。
ようやく今になって冷静に感想を書けるような気がしてきたという具合…

モントリオールで賞をとった深津絵里の「平凡な女性を非凡に演じた」演技に限らず、
キャストの誰もがみんな素晴らしい芝居をしていると思います。
ひとりひとりの人物像が丁寧に描かれている作品なので、
登場人物と共に印象に残ったシーンを書いてみようと思います。

まず何より、主人公・祐一を演じる妻夫木聡の場面場面で振幅する表情のリアリティは衝撃だった。
映画序盤でいきなりそれを思い知らされる。

祐一が会う約束をしていた満島ひかり演じる佳乃が、目の前で別の男の車に嬉々として乗り込む。
祐一のバックミラーに映された、全編を通して目にする、あの孤独に沈み込んだような表情から、
次の瞬間、彼の顔は憎悪そのものというべき人相に豹変し、野獣の咆哮のごとくGTRのアクセルを吹かし、
岡田将生演じるその金持ちボンボン・増尾のアウディを追う…。
あのシーンには頭をガーンと殴られたような、エグいものを見せられたような気分にさせられた。

警官隊が迫る灯台の中で、突如光代の首を締める祐一の目にも狂気が宿っているように見えるが、
実際は彼の内面には全く違う感情がある。
警察に拘束されながらも、光代の手を握ろうと必死に伸ばす祐一の手には、理屈で導き出せない、
何ものとも一言で言い表せない「ひと」というものの生のすがたのようなものを目にした思いがする。

「考えてみれば、私って、この国道からぜんぜん離れんかったとねぇ、
この国道を行ったり来たりしとっただけやっとよねぇ」

佐賀駅で出会った男は、髪はプリンになった金髪で、
服装は部屋着のまま出てきたかのようなジャージという、およそ清潔感とは程遠い姿の祐一だった。
日常としてそこにある国道沿いの、紳士服屋を別人にでもなったかのように眺める深津絵里演じる光代。
上記の引用は、事を済ませた後の車中で彼女が呟くセリフの一部ですが、
異質な空間からそれまでの平凡な生活を目にする光代の、どこか晴れ晴れとしたようにも見える顔が印象的。
すがりたい、すがって欲しい、それが寂しさから来る気持ちなのか、そうではないのかは、
この二人にも、そのスクリーンを目で追っている自分にもわからない。

殺された佳乃の父を演じた柄本明の、悲しみと怒りの共存した目も忘れられない。
警察から捜査に関する説明を受ける中で、おそらく娘のプライベートの色々について、
知りたくないことも聞かされたであろうその後、殺害現場に赴く。
冒頭で交わした親子の会話とは全く違う対話の場面。
「お前は何も悪うなか…」
そう語りかけながら、娘の幽霊か父の見た幻か、
まるで子供の頃に戻ったような表情になった佳乃の頭を撫でるのだが、
空には降りしきる雨と同時に、太陽の光も射している。

スパナを手に、増尾のもとを訪れる父。
佳乃を殺した犯人は別にいることは既にはっきりしていながら、
それでも恨みの念は祐一より強く増尾に向かう。
増尾の友人に向けたセリフは、流れとして少しくどくも感じたが、考えさせるものがあった。
その後、観客を苛立たせる岡田将生の名演も父の振り絞る言葉に止めを刺される。

脇役の内でも、ひときわ強く存在感を放っていた祐一の祖母を演じる樹木希林。
台所で食事の支度をする後ろ姿ひとつにしても、長台詞はそれほどないのに、
ちょっとした仕草や表情だけで、 あのおばあさんがどういう人生を歩んできたのか、人柄から何から。
また、祐一に対して、一体どんな思いで育ててきたのか?
…そうしたものを完璧に、どこか懐かしさすら感じさせる演技をしていた。
まさに、日本のおばあちゃんそのものだったと思う。

…祐一と光代の二人の関係が、結局どこへ向かっていくのか、はっきりとした提示はされない。
最後の最後で光代の口にする、「悪人」という言葉。ここで改めてそのタイトルを考えさせられる。
陽の光を浴び、無垢に微笑む祐一の顔で映画は終わるのだが、
それは闇の中の一隅を、ほんの一瞬だけ照らす灯台の光と重なるようでもあった。


【参考】悪人 (小説) - Wikipedia
【参考】「みんなで勝ちとった賞」深津絵里、日本の観客にモントリオール映画祭受賞報告@ぴあ映画生活

2010年9月9日木曜日

Super Mario Beat

Dr. Mario- Luigi's Stand (Super Mario Beat) by DrMario

マリオのリミックスも色々あるけど、声出して笑ったのはこれが初。
かっこいい。でもおかしい。
小気味いいラップも、聴き取れる限りではちゃんとゲームの内容に関するやり取りになってるのも笑う。

難をいえば、もう少し長く聴きたいです…

2010年9月8日水曜日

Sly And The Family Stone - Family Affair (Friction Re-edit) by DJ Friction

Sly And The Family Stone - Family Affair (Friction Re-edit) by DJ Friction

まだまだ暑い。
クーラー全開の電車の中も、窓からは焼けつくような鋭い日差し、
駅に着けば開いたドアから流れこむ熱気に目を回される。

それはさておき、毎年秋になるとどういうわけなのか、
無性にSly and The Family Stoneの曲を聴きたくなる日がある。
わけても「Family Affair」だ。 水の中で鳴っているようなリズムボックスに、冷めたボーカル。
その諦観の視線が、秋風に合うのか?

実に秀逸なエディットですね。

2010年8月7日土曜日

8月6日について、ロイターの記事にあったコメント

U.S. attends Hiroshima bombing ceremony for first time

このロイターの記事についていたコメントの一部を抜粋、意訳してみました。
他には、オランダが戦争を終わらせた、と書いてる人がいて、言い合いになってたり、
ニュースに関して感情的になっている人もいれば、冷静に書いている人もいるといった感じです。

以下で意見を寄せているのはアメリカの人だと思われます。
誤訳もあるかと思いますので、上の記事の原文の方も確認してみてください。

Saturn2000:
それで、アメリカという国はよその国に核を持たせたくないというわけですね?
ビジネスの分野において、誠実であることの美徳についての、
バーナード・マドフの講義を受けたい人はいないんでしょうか?

smg1044:
Saturn2000さん、アメリカが第二次大戦を終わらせたのですよ。
あなたのお祖父さん達が、その時代に実現させたことは何ですか?

flamer:
何の冗談ですか?
アメリカ人と日本人の生命を守ったのが核であることは、歴史が証明しているだろ。
もし陸海空軍が日本の本州に上陸しなくてはならなくなっていたら、
日本人はいなくなっていたということが想像できないかな?

で、今、全ての核をなくすと?くだらねーな!核は偉大だ―1945年以来、
主要な軍事力のうち、いかなる全面戦争も防いでいるのが核だ。
全ての核保有国は侵略に対抗するため、
むしろ別の手段(経済、代理戦争、プロパガンダ等)で競うことにしたんだよ。
核の他に、過去65年間で死者を一人も出していない軍事兵器システムがあるか…?
(あ、ところで12/7に、日本がアリゾナに代表者を送るのはいつになるんでしょうね??)

Saturn2000:
smg1044さん、聞こえはいいでしょうが、それは間違った声明ですよ。
第二次大戦は、ソ連によって戦わされ、勝利された戦争です。
ヨーロッパに米国が介入してきたのは戦争の終盤で、
その間、ナチスドイツは赤軍によって殲滅されようとしていたのは明らかです。
で、米国が調停に入った理由は、ナチスから世界を守るため、といった、
米の「歴史家」が言ってるようなのではなくて、
むしろ、ナチスが赤軍の手に落ちることを防ぐためだった、といえます。

戦後の現在、ナチスの考えを実行している第四帝国といったらどの国のことでしょうね?
あなたの論理でいくと、イラク、アフガン、北朝鮮、ラオス、カンボジア、セルビア、
パキスタン、ベトナムあたりでしょうか。
いずれの国も、米国によって理由もなく攻撃を受けた国で、米国内ではそのいずれの都市へも、
核を落とすことは正当であるという声がありますが。
では、これがあなたの街、あなたの家族、あなた自身に起こることを想像してみてください。
お気に召しましたか?

2010年8月2日月曜日

amazonで手軽に安売り情報を探す方法

私的メモ。
2chでたまたま見かけたこの方法ですが、なかなか重宝してます。
具体的なやり方は以下の書き込みを参照。

1 名前:おかいものさん 投稿日:2010/07/30(金) 15:39:30

お買い得・激安情報を共有してみんなでハッピーになろう!
Amazon.co.jp http://www.amazon.co.jp/

Amazonの特価セール品だけをピンポイントで狙い撃ちして見つける方法です。
単純に検索結果のアドレスを手動でちょこっと書き換えるだけなので誰でもできます。

お買い得製品を見つけたいジャンルに移動します。
それから何も入力せずに「GO!」ボタンをクリック

するとAmazonのそのジャンルに登録されている製品がずらずらと出てきます
次にブラウザのアドレスバーの末尾に以下の文字列を貼り付けます。
&pct-off=90-
すると90%以上OFFの製品が出てきます。
「90」の部分を「80」にすれば80%以上OFF、「70」にすれば70%以上OFFとなります。
無難に10%あたりから探して絞り込んだ方がいい場合が多いです、
さすがに大安売りセールはそうそうやっていないので……。

また、以下のようにして範囲指定も可能です。
&pct-off=50-70
これは「50~70%OFF」の意味になります。

最後のが一番便利かな。
書籍やDVD、ゲーム等ではあまり効果はない気がしますが、
家電製品や生活雑貨などでは、意外な割引商品が見つけられたりします。
ぜひお試しを。

2010年7月28日水曜日

「インセプション」を観た

公式サイト

先日公開されたばかりの「インセプション」を観てきました。
字幕と吹替がありましたが、今回は字幕の方で鑑賞。
ナイトショーではありましたが、夏休みということもあって客席は割と埋まってました。

「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督作品であり、
何よりディカプリオと渡辺謙が共演しているということで話題の本作ですが、
率直にいって映画の最初から最後まで、思っていた以上に集中力を要求する内容でした。
雰囲気はサスペンス、でもサイバーパンク、という肌触り。

あらすじはWikipediaの方で確認するとして、
コブ達が潜入する夢の世界の階層での流れ、及びメンバーを分り易くすると、下のような感じ。
各階層にてメンバーの一人が「キック」という夢から起こす係を担当し、その階層に留まる(太字)。
彼らのターゲットであるロバートは除外。

1【雨の街】コブ、アリアドネ、アーサー、イームス、サイトー、ユスフ

2【ホテル】コブ、アリアドネ、アーサー、イームス、サイトー

3【雪の要塞?】コブ、アリアドネ、イームス、サイトー

4【コブとモルの世界】コブ、アリアドネ、サイトー

「シャッター・アイランド」に続き、またも自己の内面世界を彷徨する役のディカプリオ。
でもこちらは、人の夢の作る世界がその世界の他者の存在へも作用しているだけに取っ付きづらく、
観る人を選ぶ傾向が強いけれど、その世界にハマるとすっかり魅了される作品だと思います。

平たく言ってしまえば、夢で構築されたラビリンスにおける表向きの達成目標は、
「ロバート・フィッシャーを心変わりさせる」なのだが、
そこにコブ夫妻の愛憎の世界が事あるごとに干渉してきて事態を複雑化させている。
メンバーひとりひとりの連携プレーをもう少し前面に出したら娯楽色が強くなりそうだけど、
そうならないのも、やはりコブの"your existence as my shade"の決着に主眼が置かれているからか。

それにしても、最初のコブ、アーサー、サイトーが絡む展開には混乱しました。
あそこだけは夢と現実の出来事の区別がつかなかった。
彼らがいつの間にかヘリコプターに乗っているシーンまで来て、
ようやく「ああここは現実の世界での出来事なんだな」という風な具合…。
アリアドネが登場するあたりから意識して観るくらいで丁度いいかも。

音にも映像にも終始圧倒されたけれど、とにかくインパクト大だったのは、
やはり個性あふれるキャスト陣の演技。
正直、主役のディカプリオが一番キャラクターとして存在感が地味なんではないかというほど。

個人的には、アリアドネ役のエレン・ペイジがとにかく可愛くて印象に残りました。
迷宮の出口への案内役ということでアリアドネ…実に重要な役どころです。
アーサー役のジョゼフ・ゴードン=レヴィットとの絡みの場面は必見。
そのジョゼフ、そしてトム・ハーディの曲者っぽいキャラクターも味わい深かった。

しかし渡辺謙…序盤こそフィクサーな不貞不貞しさ満点なのに、
なんだか撃たれて横たわってる時間の方が長かったなあ。もう少し活躍してくれ。。

そういえば、現実と夢の判別のために存在する「トーテム」としてあるあのコマは、
どこかしら「ブレードランナー」でのユニコーンを思い出させてくれた。
観終えた後は、こちらまでインセプション(植えつけ)がされたような心持ちがします。
仮想現実的世界観を愛する人には是非おすすめ!そうでない人にはキツイ…か?

ただ、自分としては、存分に楽しませてもらいました。
触れるたびに新しい発見のありそうな作品ですし、また観てみたいです。

【参考】インセプション - Wikipedia

2010年7月25日日曜日

映画.comの公式iPhoneアプリ

映画.com (App Store)

愛用していた映画情報アプリ「Now Playing」が利用できなくなってしまったので、
代わりになるものを探していたところ、映画.com公式アプリを発見。
レビューによると多少動作が不安定なとこもあるようだけど、とりあえず使ってみることに。
個人的にアプリの機能について求めているのはそんなに多くはなく、
「よく足を運ぶ映画館をブックマークでき、上映情報をチェックできること」
それさえチャチャっと調べられれば充分満足。
で、そうしたよく行く映画館での上映情報のチェックは、
確かにこのアプリでも可能なのだが…惜しいのは、
上映時間の表示の仕方が「Now〜」のそれと比べて少し探しづらい点。
ここを直していただければだいぶ使いやすくなるのではと感じた。

それにしても冒頭で触れた、レビューで指摘されてた不具合というのは確かに気になる。
GPSで現在地から劇場を検索する際、半径5km圏内で劇場を見つけられない場合のエラー。
ダイアログ→OK→ダイアログ、のループで操作不能に。
エリアから辿っていけば避けられるのは確かだけど、早めに直してほしい部分。

注:上記バグは7/27のアップデートで修正されました。

とまあ、とりあえず不具合はおいての感想としては、
「Now Playing」ほどではないけれど使えるアプリ、だと思います。
劇場・上映されている映画の情報等、もう少し見やすくなれば、良アプリになりそうです。

2010年7月13日火曜日

Googleリーダーをクールに変身させるアドオン「feedly」

feedly: a magazine-like start page

feedly(英語)はGoogleリーダー(プラスアルファでTwitterその他のサービスも一応統合可能)を、
ひとまとめにトップページの中で整理&見やすく表示し、利用することのできるFirefoxアドオン。
Safari 5(mac版)の拡張機能バージョンもあります。

とにかく、メインのRSSリーダーとしてGoogleリーダーを使っている人には非常におすすめ。
無機質なGoogleリーダーが、あたかも自分だけのオリジナルのニュースサイトのように変身します。
心なしか画面の読み込みが軽快な気もするし、細かなカスタマイズもできて本当に快適。

また、DeliciousやTumblr、Instapaper、Read It Laterなども併用できるところは正にブロガー向き。
はてブに対応してないのは不満に思う向きもあるでしょうが、自分にはこれでも充分すぎる程です。
興味のある方は導入してみてはどうでしょう。

自分は暫くはGoogleリーダーの代わりに、feedlyの方を使い倒してみたいです。

2010年7月12日月曜日

インスピレーションをかきたてる美しい写真の数々

Showcase of Beautiful Photography

Smashing Magazineより、思わず目を引く美麗な写真の数々が紹介されております。

犬の愛らしい寝顔をとらえたDreaming
透き通るような青空と目の覚めるような陽光が眩しいBlue Sky
横たわる女性と水たまりに映る雲の反射の対比がヒプノシス的なFalling Up
不思議の国のアリスを思い起こさせるような、可愛らしいBunny Bokeh
寂寥感とユーモアが共存しているようなシチュエーションのInk Sea
あたりが個人的なお気に入り…壁紙にするにはちと小さいけど、
いずれも視覚的にインパクトのある素晴らしい作品が並んでおります。

2010年7月7日水曜日

Hype Machine的な新サイト「droppz」

droppz

droppz(英語)はユーザーがそれぞれおすすめの音楽をシェアし、
互いに評価していくことで日々柔軟なランキングが生成されるという、
Hype Machineとよく似たタイプの新サイト。

トップ画面のロードに多少時間のかかるところに難はあるものの、サイトデザインは秀逸で魅力的。
あちこち煩わしくページを移動することなく、ウィークリー or デイリーランキングや、
聴き流しつつ気になってチェックした自分のお気に入りの楽曲のリスト等を閲覧・聴取できる。
聴くだけなら必要ないが、評価等をするには要登録(無料)。

さしあたってtwitterやfacebookとの連携が実装されてますが、
まだ立ち上がったばかりでもあるので、今のところHype Machineと使い分ける部分としては、
う〜ん…とりあえず、見た目かな?今後の改良を期待したいです。

2010年6月16日水曜日

iPhoneアプリ「キングパルサー」を遊んでみる

SLOT JAPAN! キングパルサー
icon

爆裂台前夜のストック機の名作、キンパルのiPhoneアプリ。ただいま半額セール中で230円です。
おなじみ、通常のスロットゲームに加え、ジャックポットモードというおまけつき。
「素うどん」ならぬ「素キンパル」であるノーマルモードはRT消化時にストック開放、
という慣れ親しんだあのスペックで、言うまでもなくカエル演出が5連続すればボーナス確定。

通なアナタなら、やっぱり右リールにゲチェナを狙うはず…一応ハズシについて触れると、
中リールに赤7を狙い、右リールオヤジ打ちでリプレイが中段にテンパイしたら、
左リールの中段もしくは下段に赤7を目押し。リプレイ上段テンパイなら白7を枠内に狙う。

そして本ゲームオリジナルであるジャックポットモードの方はというと、
こちらは通常のキンパル+カジノのスロットマシンのような仕様になっていて、
ボーナス当選時 or ベル10回獲得でジャックポットチャンスに突入し、
当選するとその時点でコインがドカドカ増えるというもの。ちなみにベルからは滅多に当たりません。
ノーマルモードに飽きた時なんかに遊んでます。

感想としては、名作だけあって今遊んでも充分面白いし、ジャックポットも楽しい。
操作性についてもリールをタップすることで停止ボタン代わりに目押しできるところが良いです。
とにかく演出・効果音・BGM、どれもまさしくキンパルそのもので懐かしく、楽しい。

ただ、少し回転中のリールが見づらいかな…。
先日買った「大花火」にあったようなリールブラー機能が付いていると嬉しいのですが。
あとは横画面にした時に絵柄が若干ぼんやり気味なので、出来ればくっきりさせて欲しいですね。

というわけで、アップデートで対応して貰えたらありがたい部分は多少ありますが、
今は亡き御徒町のダイヤモンドでの思い出を呼び覚ましてくれた本作にはただただ感謝!です。

2010年6月14日月曜日

「クレイジー・ハート」を観た

公式サイト

呑んだくれの元売れっ子カントリー歌手に扮するジェフ・ブリッジスの名演が光る、
彼のアカデミー主演男優賞受賞作「クレイジー・ハート」を観てきました。

それにしても、主人公・バッド役のジェフ・ブリッジスの太い歌声は心に沁みた。
まさに、彼の歌あっての映画という感じ。

愛車のベスに揺られながら、時にはボウリング場でのライブまでこなすバッドのドサ回りの生活には、
どこかミッキー・ロークの「レスラー」を思い出させるところもありつつ、
しかし周囲の誰もが彼の未だ枯れない才能の輝きを信じて疑わないところが良いです。

とはいえバッドのアル中ぶりは酷く、ストーリー中盤まではステージ中だろうが何だろうが、
とにかく途中で裏に引っ込んでは飲んだり吐いたり、という具合。
寝床では胸の上にグラスを乗せ、煙草の方も吸いさしを火種にチェーンスモーキングと、
まさに現代ではおよそ支持されることのない見本のようなバッドなのですが、
どこかでその太く短い豪快な生き方(といってももう充分オッサンなのだが)がアメリカ的というか、
彼が広い空の下、バンを走らせていく姿と相まって不思議な力強さを感じさせもする。

そんな性癖が原因となり、愛するジニーの家へ向かう最中に車が横転事故を起こしてしまい、
松葉杖の生活になったりもするのだが、それでも酒を止められない姿は何とも痛々しい。
それを咎めつつも彼の心に寄り添おうとするジニーではあったが、そこである事件が起こり…。

俳優陣はジェフ・ブリッジスの圧巻の存在感だけに限らず、実に素晴らしいです。
バッドのかつての弟子であり、押しも押されぬスターになったトミー役のコリン・ファレル。
ジャーナリストとして彼の前に現れるも恋仲になるジニー役のマギー・ギレンホール。
そして、バッドの依存症克服を手助けする彼の最大の理解者、ウェイン役のロバート・デュヴァル。
家庭とは無縁に生きてきたオーティス・ブレイクという男を取り巻く人々の温かさ、
実の息子との深い溝こそ埋められないままに話は進むが、彼自身は決して孤独ではない。
その辺りの機微を丁寧に描いている雰囲気がとても印象的でした。

この映画を観ていて、自分はギタリストの故・大村憲司氏が生前雑誌のインタビューで語っていた、
「ギターソロはひとつの物語なんだ」という言葉を思い出しました。
ジニーの「曲はどういう風に作るの」という問いかけに、「俺の人生を基に」と答えるバッド。
ひとつの楽曲が、ひとつの映画の中で形作られていくフッテージは静かに、
でも確かに心を揺さぶるものでした。
決して派手さはないけれど、自分自身が歳を重ねた時、また触れてみたい作品だと思います。



Jeff Bridges: The Weary Kind歌詞

【参考】クレイジー・ハート - Wikipedia

2010年6月7日月曜日

「告白」を観た

公式サイト

先日公開されたばかりの「告白」を観てきました。
松たか子主演、中島哲也監督による同名小説の映像化で、上映時間は1時間46分。
少年犯罪も重要な要素になっていて、それがまた血生臭かったり、
精神的に追い詰めたりといった感じなので、R15+指定は妥当でしょう。

内容的には相当シリアスで、また情緒的な面にかなり揺さぶりをかけてくる映画でした。
なるべく冷静に、本作の持つ高密度な心理劇という面を意識して鑑賞しましたが、
それでもやはり観ていて疲れるストーリーです。しかし、見応えは充分すぎるほど。

原作は未読なので、映画のみを観ての感想ということになりますが、とにかくテーマが重く、暗い。
森口先生、修哉、美月、直樹、ウェルテル、直樹の母、クラスの生徒たち…、
彼らの心の芯に存在するものや、その揺れを観るひとの頭の中で整理し、
把握することは非常に困難で、なぜ困難なのかといえば、
それら心理の混在の有り様が真に人間的であるからに他ならないからだ…。
…堅苦しく言えばそうなのだろうか?なかなか的確な言葉が見つかりません。

惨い事件が起こる度にマスメディアで踊る心の闇、という言葉は、
まあ何と言うか、ずるいよなあとよく感じたりしますが、
主要な登場人物それぞれに告白(全てが心情の赤裸々な吐露では必ずしもないが)をさせることで、
闇を闇で終わらせずにそれと向き合わせていくところにある意味カタルシスを感じます。

それにしても、松たか子の演技といったら…セラピストか催眠術師か、
とでもいうような落ち着きと無機質さを持った冒頭の告白。
娘を殺された復讐しか頭にない、あの狂気じみた静寂さに充ち満ちた丁寧な口調。
本当に怖い。

それとは対照的な、森口先生が壮絶なまでに感情を吐き出す、レストランを出た後の場面。
あそこでの逃れえない絶望とも途方も無い孤独とも表現しきれない慟哭は……会心の名演だと思う。
失礼ながら正直、あれだけの演技の出来る女優だとは思ってなかった。

映像の部分で目を惹いたのは幻想的な演出の美しさと、その場の状況を反映した空間の描写。
今まで目にしたことのないような斬新さ、というのがあるわけではないのだけど、
森口先生が騒がしい教室で淡々と告白をするシーンでのジワジワ這い寄る圧迫感とか、
愛美の殺害現場となった、緑に濁り、澱みきった学校のプールと隣り合って建つ、
ワンコがウロチョロする長閑さに満ちた住宅にある深い断絶を俯瞰で見せる場面は印象的だった。
圧巻はやはり終盤の体育館での森口と修哉の会話における、耽美的カタストロフとでもいうべき演出。
今年観た映画では「シャッターアイランド」にも似た、深淵の映像美を思い起こさせたような。

まあ、どうしても観る側としては映像作品として触れる時、凄惨な場面でも画的な部分で、
どこか芸術的だったり、ダイナミックな要素を残しておいて欲しい、とも思ったりするけれど、
犯人Aである修哉が関わるシーンは敢えて言えば甘美というか、ファンタジックだったり、
思春期の淡い匂いのようなものがあったりしたのも目に焼き付いた。
その辺り、レディオヘッドの陰影やBorisのポストロック的ノイズと絡みあって、
それが事実なのか、妄想なのか、わざとぼかされている部分によりインパクトを与えたかも。

キャストで他に印象深かったのは、美月役の橋本愛や、直樹役の藤原薫。
美月には思春期の頃、みんながゲラゲラ笑っている中、ひとり何か別のものを探すように、
どこかを見つめていた女の子の持っていた神秘的な魅力があって良かったです。

直樹は…相当ヘビーな役回りなのに、彼の告白には奇妙な清々しさのある辺りが興味深かった。
どこか憎めない、ぼんやりしたお人好しな奴がプライドを守るためにとった行動の罪深さ。
ああいうキャラはクラスや組織に一人は必ずいるから生々しい。

少し違う見方をすれば、復讐を遂げるために執拗に謀略を張り巡らせる森口先生もまた、
もし仮に娘が殺されることがなかったとして、では果たして精神的に健全な人物なのだろうか?
という部分でなんだか疑わしくもある、という点で、やはり比較的ニュートラルに近いのは、
ウェルテルであったり、いわゆる中二病的な内面をみせる美月なのかもしれません。

ラストについて考えると、パンフにある松たか子のインタビューを読んで少なからず納得したのは、
修哉と目を合わせることで犯人である少年の持つ心と正面から対峙した森口先生、
というような話で、彼女が最後の最後に口にする言葉は彼への最高度の揶揄でありつつも、
多少そのキャラクターに変化が現れている、という点に特に注意を払っていたのかなと思いました。

ただ、本作で疑問に思う点がなくはありません。しかしそこは原作と照らし合わせての話になるので、
読んでない以上は評価してはいけない部分でもありますが、それでも言わせてもらうと、
クラスの中におけるその他の生徒や、修哉の母については、多少カリカチュアが過ぎる気もしたし、
また、過剰なまでに殺人が発生していくせいで個々の事件の印象が散漫になってしまってました。
そこを補って余りある演出とキャストの演技で何とか映画に落とし込んだ監督の労苦がしのばれます。

余談ですがこの映画、予告編を観たときは正直な所、そそられませんでした。
これだけ魅力を持った作品なのに…そこはもう少しうまく宣伝して欲しい気がしました。

【参考】告白(湊かなえ) - Wikipedia

2010年5月30日日曜日

「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」を観た

公式サイト

ジョニー・トー監督によるクァイ三部作を締めくくる「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」。
やたらと長い邦題ですが、原題はシンプルで「復仇」(Vengeance)。
恥ずかしながらトー監督の映画は初体験でしたが…本当に面白かったです。これは中毒になりそうだ。
客層の方も、いかにも香港映画ファンといった感じのコアな気を醸し出している人が多かったかな?
以下はネタバレ込みの感想。

とにかくガン・アクションを軸に痺れる場面が目白押しな中に適度なユーモアが散りばめられ、
そこへ来て繊細で幽玄な映像美も重なることで、
独特の化学反応が生じた味わい深い映像世界に酔わせられもし、
また、劇場の床も揺さぶるほどに轟く銃声の強烈さもストーリーが進むほどにザクザクと鋭いインパクトを刻み、
うーん…何とも形容しがたい小気味良さというかリズム感を持った内容です。
月並な表現ではありますが、まずコッテリ濃いけど、旨くて癖になる味というような。

主要キャストも殆どジョニー・トー作品ではお馴染みとのことで、絶妙で魅力的でした。
強面ながら義理堅く洒脱な面も垣間見せるクァイ(アンソニー・ウォン)に、
クールな優男といった雰囲気のチュウ(ラム・カートン)、
そしてあくまで三枚目をキープしつつ軽快な動きも見せるフェイ・ロク(ラム・シュー)からなる殺し屋三人組と、
彼らに絡むコステロ演じるは、フランスの往年の名優・ジョニー・アリディ…。
当初コステロ役はアラン・ドロンが演じる予定だったそうで、この辺り評価が割れているようで、
正直なところ自分も最初のあたりは「?」という感じだったのですが、
実際に鑑賞し終えてみれば、バランスとしては結果的にアリディで良かったように思います。

絵的な見所も多くて冷静に書くのが難しいくらいなのですが、
コステロが元・凄腕の殺し屋だった事が判明した後、ガラクタの自転車目がけて4人で代わる代わる射撃すると、
その威力でふらふらと前進していく自転車…その姿に彼らの関係を重ねてみたりとか、
夜のキャンプ場、4人が娘家族の仇である殺し屋グループの家族らとかち合い、見下ろすその一時の団欒の光景から、
ひとりの子供が投げた虹色のフリスビーが4人の傍を飛んでいくところ、
そこでの月が雲の間から隠れては現れる空の下、落ち葉舞う中繰り広げられる非情の銃撃戦など、何しろ美しい。

さらには映画も佳境に入ったところでの衝撃…ファン側とクァイ側入り乱れての、
双方サイコロ状にプレスした巨大紙ゴミを盾にしながら、それをゴロゴロ転がしての決戦!
決定的に悲壮感漂うものであろうと予想する場面で、まさかのコント寸前のようなバトル…これには笑った。
何しろ前半の山場である月夜のドンパチと、後半のその、降り注ぐ紙くずの雨の中での決闘のコントラストが素晴らしい。
印象的なシーンが沢山登場する本作でも最も目に強く焼き付くシーンだと思います。

また、降りしきる雨と夜の闇がとても魅力的に描かれていたりもして、ちょっとブレードランナーを思い出しました。
ラストでコステロが屈託なく笑い声を上げる姿には少し戸惑いもしましたが、全体としてはとても満足のいく作品です。
これを機会に、他のジョニー・トー作品にもぜひ触れてみたい…!と強く感じました。おすすめ!

【参考】冷たい雨に撃て、約束の銃弾を - Wikipedia

「グリーン・ゾーン」を観た

公式サイト

ポール・グリーングラスとマット・デイモンというボーンシリーズのタッグによる、
イラク戦争を舞台とした映画「グリーン・ゾーン」を観てきました。
こちら、字幕は戸田奈津子さんです(汗)。
ずいぶん前から頻繁に予告が流れていた話題作ながら、公開から2週間が経過したこともあって、
地元の映画館ではナイトショーとしても若干空席が多めでした。

しばらく前の「ハート・ロッカー」が同じイラク戦争をテーマにした映画ということで、
未だ少なからずその余韻もくすぶる中での鑑賞でもありましたし、
撮影監督が「ハート・ロッカー」同様バリー・アクロイド氏とのことではあったものの、
さすがに映画としての肌触りはかなり違いました。

ボーンシリーズと比較しても、ストーリー展開のテンポの良さあたりに共通点はあっても、
銃撃戦などのアクションの部分で爽快感を味わうような雰囲気でもなし。
とはいえ、上映時間2時間弱でもダレることはなく、自分としては概ね楽しめる作品でした。

なんというか、序盤で込み入った話を匂わせているにしては、意外にシンプルだなあと感じた。
例えば登場人物は、役回りが枠からそれほどはみ出すことなく、きっちり定まっている。
任務に対する責任を頑なに重んじるミラー。出処の怪しい「特ダネ」に振り回されるローリー。
良識的イラクの民間人の立場を代弁するフレディ。いかにも政治家らしい老獪さを見せるアル・ラウィ。
そして、ラムズフェルドあたりを戯画化したような黒幕パウンドストーン。

そんな風に人物描写を簡潔にした分、アクションシーンは多め…なのだが、
ミラーは思ったほど派手な活躍はしていなかったような気がする。
クライマックスの市街戦のシーンも、ミラー役のマット・デイモンが何をしてたかより、
バグダッドを包む闇夜の空を旋回するヘリのモニターの方が印象に残ったし、
一番肝心な場面においてもミラーは良いところをフレディに持って行かれている。
目立った手柄は序盤の手帳ゲットとラストのレポート送付…と、思った以上に地味なのは、
単純に爽快感を期待する向きにも不満が残るかもしれません。

ただ、ラストでミラーが叫ぶ、パウンドストーンに向かってのセリフは凄い。
「こんな米国を誰が信じるんだ?」
ここまではっきりした言葉が出てくるハリウッド映画は、なかなかないような気がします。
マイケル・ムーアがこの映画を褒めているというのも、このシーンに対してのそれもあるのかもしれない。

そんな感じで、もう一度観たいかと言われると、うーん…という作品ですが、
とりあえず一回観てみる分には「グリーン・ゾーン」は充分面白い映画だと思います。
ちなみに、画面におけるブレの演出が結構多めなので、後ろの方で観ることをおすすめします。

【参考】グリーン・ゾーン - Wikipedia

2010年5月25日火曜日

iPhoneアプリ「大花火」を遊んでみる

大花火
icon

パチスロ4号機におけるアルゼの名作「大花火」。
ホールに登場したのは早いもので、もう10年半も前のこと。
当時を懐かしむ人も、そうでない人も充分そそられるタイトルなのは間違いない。
ちなみにアプリの価格は450円なり。

見るとAppStoreでの評価も高くはあるが、iPhoneではちょっと画面が小さすぎやしないか?
と思ったのも、実際に遊んでみると杞憂だったことに気がつくのでした。
確かに縦画面では絵柄がわかりづらいのですが、横画面にしてみると意外にHANABI絵柄が見える。
さすがにBIG中のBARビタ押しでのハズシは難しくて諦めましたが、やっぱり久々に遊んでも面白い!
4thリール演出の時間が短縮されてるのに違和感はあるものの、ウェイトなしでガンガン回せたり、
あの効果音からリールのバックライトを模したグラフィックから、
打っていた当時を色々思い出させてくれたりと、プレイしていてなかなか感慨深いものがありました。
大花火のゲーム自体は昔、PSで出ていた「アルゼ王国」でもよく遊んでいたのですが、
今回iPhone版を動かしてみて感じたのは、思った以上にタッチパネルでの操作が快適だったこと。
目押しはちょっと慣れが必要ですが、やっている内に充分対応できる程度のものだし、
わざわざこれを買う人は実機を打ち込んだ人が大半な気もするので、まあ大丈夫でしょう。

この調子で、アステカ、ワードオブライツ、タロットマスター…それから個人的には、
タコスロ、サンダーV(この辺りは目押しがキツイかな…)あたりもぜひ発売して欲しいところです。

2010年5月11日火曜日

洋楽ファンにおすすめのサイト、Hype Machine

The Hype Machine: MP3 & Music Blog Aggregator

Hype Machineは、世界中のブログから音源をかき集め、ネット上で聴くことのできるサービス。
アカウント登録が必要ですが、メールアドレスさえあれば無料で参加出来ます。
英語圏でのサービスだけに殆どは欧米のロック・ポップス・クラブ系の音楽あたりで、日本のミュージシャンの曲は少ないですが、洋楽が好きな人には相当楽しめるサイトなのは間違いありません。

聴いている曲の情報をLast.fmへ送ることもできて、また新曲が上がるのが早いところも便利ですし、中でも興味深いのはPopularの項目。
アップされた曲をユーザーが評価することにより日々さまざまな楽曲が順位を上下しているので、必然的に代謝が良く、またある程度客観的な、洗練されたランキングが出来上がっている点が良いです。
他にもまだ試してませんが、YouTubeのチャンネルのように気に入ったユーザーを登録しておくこともできるようですね。

個人的には、ここでないと出会えないようなアーティストの作品とか、面白いリミックスものなんかに触れることが出来るところにすっかりハマり、暇さえあればついついチェックしてしまっております。

【参考】Hype Machine - Wikipedia (英語)

2010年5月3日月曜日

「プレシャス」を観た

公式サイト

第82回アカデミー賞にて、脚色賞および母親役のモニークが助演女優賞を受賞した映画「プレシャス」を観てまいりました。
時間帯はレイトショーで、客席は女性が多かったように思います。字幕は松浦美奈さんでした。
原作の方は、実際にニューヨークのオルタナティブ・スクールで教師をしていた作家兼パフォーマンス詩人であるサファイアが経験した、彼女の教え子たちとのエピソードを元に発表した「Push」という作品で、内容はというと、非常に重い。
貧困、近親相姦、そしてエイズと、主人公の少女・プレシャスはこれでもかというほどの過酷さに苛まれる。

が、決して湿っぽくならない。場面場面で挿まれるプレシャス自身のモノローグは、スクリーンに映る彼女のしかめっ面とは対照的に、無邪気で健気な、
思春期の少女らしさを残しつつ、また子供への愛も込められているところに救いがあるし、彼女自身がショックや混乱に襲われる時に立ち現れる妄想世界にもどこかユーモアが漂っているなと思いました。

それにしても、モニーク演じるプレシャスの母の強烈な存在感には目を見張るものがあります。
殆ど年中カウチにふんぞり返ってタバコをふかしつつ、実の娘に対して「さっさと飯を作りな!」だの「こんなもん食えるか」だの「学校なんか行ったって意味なんかあるもんか、このバカ」だの、もう怪物的というか、いくら血が繋がっているとはいっても、こんな親とよく住んでられるなあというシーンが続き、観ていて気が滅入るほど…オスカー受賞も納得の迫真の演技で、とにかく本当に凄まじいです。

母には母の思いが、もちろんあるのですが、それはそれとして、映画の終盤で彼女が、どれだけ自身の抱えていたものを打ち明けたとしても、やはり決して娘との決定的な溝を埋めるには至りません。

ただ、そんな鬼ババアのような母親も含めて、プレシャスにとって鬼畜のような父親の振る舞いがこの家庭を崩壊させてしまった事実が、この映画において物語が全く親父不在で進んでいくにしろ、色濃く影を落としているのは確かです。

そして、映画の中でプレシャスが一度だけ涙を流すシーンがあって、そこは本作の最も印象的なシーンのひとつになっているのですが、あの場面を改めて考えてみると、家でも学校でもいつも伏し目がちで暮らしていた彼女の感情が、あることによって噴出する時、傍にはEOTOのクラスメートの仲間がいて、また、親身になってプレシャスを支えてくれたレイン先生も目を潤ませながら「子供はあなたを愛している。私はあなたを愛している」と力を込めて彼女に説いていたりする。

特に、プレシャスが彼女自身の抱えている孤独を訴える場そのものはeach one teach oneの教室という、とてもアットホームで、のびのびとした雰囲気のある空間だったというところは、非常に映画の根底を流れているものを象徴しているように感じ、僕自身、強く心に残る場面でした。
内容が重いテーマを扱っているということで観るのに気後れする人もいるだろうと思いますが、人の輪が持つ温もりとか、生命力とか、そうした面も同時に触れることのできる作品だと思います。

余談ながら、本作にはマライア・キャリーやレニー・クラヴィッツなど、黒人系のアーティストも脇役で出てたりします。
特にマライア・キャリーはノーメイクでの出演ということで、正直、言われなければ誰だかわからないくらい地味で、かつ話す声も全くイメージと違うので衝撃でした。
何より、レイン先生を演じたポーラ・パットンという女優さんの美しさには見惚れてしまいました。ちなみに彼女自身は役とは違いストレートのようです。

【参考】プレシャス - Wikipedia
【参考】必然的に「プレシャス」役を引き寄せたガボリー・シディベの強運 - eiga.com

2010年5月1日土曜日

映画ファンにおすすめのiPhoneアプリ「Now Playing」

Now Playing (無料)

こちら「Now Playing」は、ちょくちょく映画館へ足を運ぶ人にとっては、
非常に使い勝手のいいiPhoneアプリです。
以前はどの映画がどの映画館で公開されていて、
何時から上映されているかを調べるのはちょっとした手間のかかるものでしたが、
これを使いだしてから、気になったその場でパッと調べることが出来るようになりました。


使い道としては、いろいろ用途はあるようですが、
まずはよく足を運ぶ映画館を地図からいくつかお気に入りに放り込んでおき。
登録したそれら映画館の項目のうち、適当に近場のところをタップすると、
そこで、その日上映されている映画が上映時間つきでリスト表示される。

上の画像のような具合で、
いざ観に行こうという段になってから確認したいことが出てきても、殆どこれで用が足ります。
リスト中の映画名をタップすれば、その作品の基本的な情報や簡単なあらすじなどの紹介、
Wikipediaの該当タイトルのページへジャンプしたりもできて、
それら機能だけでも至れり尽くせり状態。

しかも無料なのでかなり重宝してます。
あとは、一つの映画館で字幕版と吹替版の公開が重なってたりする時に、
どちらがどちらかわかれば更に便利に使えそうです。

※6/19追記

現在、本アプリはAppStoreからダウンロードできないようです。
インストールされてある「Now Playing」を起動しても、上映スケジュール等が更新されず…。
良アプリということで愛用させてもらっているだけに、ぜひ復活を希望します。

※7/25追記

Now Playingの代用として、同様のいくつかのソフトのうちの一つ、
映画.comによるiPhoneアプリをこちらの記事で紹介しています。

2010年4月26日月曜日

「アリス・イン・ワンダーランド」を観た

公式サイト

さて、レイトショーで観てまいりました「アリス・イン・ワンダーランド」。
話題作だけに客席は日曜の夜にしては割と埋まっていて、年齢層の方も若者もいれば年配の方もいました。
今回は3Dの字幕版での鑑賞でしたが、ここでひとつ言っておきたいのは、この3Dメガネの色が若干暗く緑がかっている点。
立体感をとるか色彩をとるか?どちらかを選べばどちらかを犠牲にしないといけないのは悩ましいところで、
今後3D映画を上映していく上で改善しておいてもらいたい部分でもあります。

さておき、ストーリーの方に触れていくと、宣伝ポスターや予告編から印象づけられるエキセントリックさは控えめで、本作は実にティーンエイジャーのアリスとマッドハッターの繰り広げる冒険物語というのを前面に押し出した内容でした。
序盤こそアリスがウサギを追って穴ぼこに落ちてからしばらくは、薬を飲んで体のサイズを調整したり、いかれたティーパーティーに巻き込まれたりと、原作をなぞったエピソードも登場しますが、そこから徐々にアリスと仲間たちが赤の女王の独裁体制に対して反旗を翻し、白の女王の助けを借りてアンダーランドに平和をもたらそう、という展開になっていきます。
また、もう少しで成年という年齢だけに、アリスはアンダーランドに距離をおいたスタンスで、冒険の途中まで「どうせ夢なんだから怪我をしようと何をしようと自分の手の内にある世界だ」というような冷めた調子なのですが、それがハッターや不思議の国の住人たちと関わる中でだんだん変わっていく様子を追っていくのも面白いと思います。

以下はネタバレを含む感想。
見どころとしては「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」に登場するアクの強いキャラクターが入り乱れ、それぞれが活躍をみせる中、やはり中心となるジョニー・デップ扮するマッドハッターの存在感はピカイチ。バートン監督いわく「マッドハッターというキャラに深みを持たせたかった」とのことで、マッドといいつつ見た目以外はだいぶまともで、アリスと持ちつ持たれつ奮闘。また、インパクト絶大、頭のデカさがコンプレックスになっている、ヘレナ・ボナム=カーター演ずる赤の女王のヒステリックでどこかユーモラスな立ち居振る舞いも目を引きます。
他にも、バンダースナッチやジャバウォッキーなど、原作では劇中の詩などの中だけにいた謎のモンスターも実際にアリスの目の前に姿を現し、物語の重要な役割を担っている部分も魅力。個人的には白の女王役、ある種独特な顔立ちのアン・ハサウェイが、ほぼそのルックスとフワフワした動きだけであの世界にぴったりハマっていたのが興味深かったです…好きな女優さんですが。

何より、3D版では目の前まで石ころが転がってきたり、チェシャ猫がぐるぐる回って現れては消えたり、アブソレムの吹かす紫煙がスクリーン中に立ち込めたり、3月ウサギの投げつけるティーポットがこちらに向かって飛んできたり、アリスがバンダースナッチに乗って走る中、木々の枝がバチバチぶつかってきたり、アリスの肩でチョウチョが舞い飛んだり…といった場面の数々が、特に臨場感を持って迫ってくるあたり、なかなか楽しめました。
ただ上述の通りで、場面によってはアリスの顔色が青ざめてるように見えたりもするので、自分は時々メガネを上げて画面を眺めたりもしてました。

そして、若干ながら観ていて違和感のあったところもありました。例えば、アリスが戦うのは良いとして、甲冑つけて剣持って、という流れは、ちょっと正面突破過ぎるというか、勇ましすぎないかなとか。アリスが勝負に勝ち、敗れた赤の女王に容赦がないのは、まあディズニーらしいけど、それはそれで、あれだけイカツイところを見せつけた赤の女王には姉としての威厳を出してくれるか、反対に、「ごめんなさい、もうしません」というしおらしさで白の女王と和解、といった具合に締めて欲しいような気もしましたが、とどのつまり、ファミリー向けとはいえ、話の中にチラッとでも悪役が悪役になっていかざるをえない宿命的な何かを垣間見せて欲しかった、というのが本音として率直に感じる部分でした。

しかしながら、肩の力を抜いて楽しむことが出来る作品として、また鮮やかな色彩感を味わえる映画(それには2Dでの鑑賞を!)として、原作を知らずとも最後まで飽きずに観ることが出来、愛読した人ならより細かな要素にニヤッとできるような一本かと思います。

【参考】アリス・イン・ワンダーランド - Wikipedia

2010年4月23日金曜日

「第9地区」を観た

公式サイト

2010年アカデミー賞にて4部門にノミネートされた「第9地区」(原題「district 9」)。
平日の夜ということもあって客席こそまばらでしたが、なるほどひと筋縄ではいかない、様々な部分で想像を膨らませてくれる良質なSF映画でした。上映時間は111分、字幕は松浦美奈さんです。

観客の視点としてはドキュメンタリータッチの映像が中心となっていることもあり、最初はMNU側の立場に添って物語に入っていくので、エビの異形さはただただモンスターという印象だし、スラム化した第9地区の不衛生な環境なども相まって、とにかく不気味。
字幕こそついているもののエビの声は基本的に「ゴゴ、ゴゴゴ」という音声のみで、また怪力で簡単にMNUの兵士を殴り殺したりするので、粗暴さ、わけのわからなさの方が際立っている。

しかし、ストーリーを追っていけばいくほど感情移入の方向は、MNUではもちろんなく、主人公・ヴィカス、または彼以上に宇宙人のクリストファー親子へと向かうようになっていると思う。
これは親子が他のエビと比較して非常に高度な知能を持っていること、穏健路線を重んじる平和主義者であること、そして無邪気な子供エビの振る舞いなどに、否応なしに引き込む魅力と勢いがあるからかも。

人間対宇宙人の戦いをステレオタイプに描くのではなく、アバターと通じるような、未知の存在との共存というテーマもあり、しかし同じ人間でもMNUとギャングでは双方エビを利用しようという目的は同じだが、利害や手段においては対立していたりするし、エビはエビで、彼らなりに環境への順応をしつつ、故郷に帰ることを目的とする者もいたりで、それぞれの思惑が色々入り交じっている感じです。

もっとも、面白いだけに、惜しいなあと思うところもあります。
MNUの面々がいかにも悪役のための悪役に過ぎ、ひとりくらいヴィカスの側へ寝返ったりする社員がいる方が幅が出てきそうだし、クリストファーはエゴを振り回すヴィカスに甘すぎる気もするし。
あと、ヴィカスの奥さんがどうも中途半端な存在。彼が電話をかけるシーンあたりでの奥さんの態度を見ていると、ヴィカスがそこまで帰りたい!といきり立つほど幸せな家庭なのかなあという印象が少しした。

とはいえ、見どころとしては、ストーリー序盤でエビの卵に火をつけて、そのはぜる音をポップコーンに例えて笑っているヴィカスがどう変わっていくのか、という部分につきます。
というのも本作の根っこは、ドキュメンタリータッチでありつつもヴィカスの物語にあるので、やはり落とし所もそこへ向かっているのですが、彼を取り巻く他のグループも注意深く見てみれば見るだけあれこれ考える要素が際限なく広がっていくような、もっともっと作品の世界を探検したくなる雰囲気も随所にちりばめられた映画でもありました。

シャルト・コプリーの実に人間臭い演技も本当にお見事だったと思います。そして最後に、あのエビの、グロさにも愛らしさにも転じる絶妙なデザイン…その動き、目の表情にはすっかり魅了されました。
シリーズ化あるかな?期待してます。

【参考】第9地区 - Wikipedia
【参考】シャルト・コプリー インタビュー

2010年4月18日日曜日

Herb Alpert & the Tijuana Brass『Collector's Edition』を聴く

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Collector's Edition
Madacy Special MKTS 2008-08-19
by G-Tools , 2010/04/18

ハーブ・アルパートの音楽に自分は、いつもどこかしら「おやつ」的なものを感じます。ラウンジ・ミュージックとして取り沙汰されたり、BGMとしてテレビ・ラジオ問わず、あちこちで耳にする機会が多かったりするけれど、その音楽をバックにすると、あらゆるものが彩り豊かな世界にみえてくるから不思議です。

こちらのCollector's Editionは『Whipped Cream & the Other Delights』『Going Places!!』『What Now My Love』の3枚をパッケージしたボックスセットなのですが、クッキー箱のようなオシャレな缶のケースで凝ったデザインながら値段は2,000円台、しかも耳馴染んだ名曲が殆ど収録されているというお得仕様で、ポップ・インストゥルメンタルファン必聴の内容。

一枚ずつ紹介していくと、『Whipped Cream & the Other Delights』の方はビートルズのカバー#1「蜜の味」に始まり、オールナイトニッポンを聴いた方なら知らない人はいないあの#4「ビタースイート・サンバ」、TBSラジオでの毒蝮三太夫さん司会でお馴染みのミュージックプレゼントのオープニングで使用されている「ホイップクリーム」のハーブ・アルパートバージョン#6といきなり名品ぞろい。ジャケットのクリームまみれにドレスアップされた女性の姿も官能的ながらポップで素晴らしい。

『Going Places!!』は#1「ティファナ・タクシー」、#4「スパニッシュ・フリー」、#6「第三の男」、#7「ウォーク・ドント・ラン」、#12「その男ゾルバ」と、これまた豪華なナンバーが並ぶ。こうして聴いていると、やはりこうも滑らかで柔らかいトランペットの音は唯一無二なのではないかと思わざるを得ない。

『What Now My Love』はフラメンコギターのイントロから始まるタイトル曲の#1からいきなり心地よい。#3「Memories of Madrid」、#5「So What's New」、#6「Plucky」、#7「Magic Trumpet」、#9「Brasillia」あたりが個人的には好み。トランペットもさることながら、アンサンブルにおいて軽やかに転がるマリンバがかなり重要なパートを占めていることにも気がついた。

近頃聴くことの多い音楽がデジタル色の強いものが多いだけに余計に感じるのかもしれませんが、例えば冒頭に少し書いたように、ラジオ、とりわけ音質の部分で制限のあるAMラジオから聞こえてくることを考えると、親しみやすいメロディがデンとセンターにあって、しかも軽やかでリズミカルなハーブ・アルパートの音楽って本当に相性が良いんだなと思ったりしました。

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