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2010年4月26日月曜日

「アリス・イン・ワンダーランド」を観た

公式サイト

さて、レイトショーで観てまいりました「アリス・イン・ワンダーランド」。
話題作だけに客席は日曜の夜にしては割と埋まっていて、年齢層の方も若者もいれば年配の方もいました。
今回は3Dの字幕版での鑑賞でしたが、ここでひとつ言っておきたいのは、この3Dメガネの色が若干暗く緑がかっている点。
立体感をとるか色彩をとるか?どちらかを選べばどちらかを犠牲にしないといけないのは悩ましいところで、
今後3D映画を上映していく上で改善しておいてもらいたい部分でもあります。

さておき、ストーリーの方に触れていくと、宣伝ポスターや予告編から印象づけられるエキセントリックさは控えめで、本作は実にティーンエイジャーのアリスとマッドハッターの繰り広げる冒険物語というのを前面に押し出した内容でした。
序盤こそアリスがウサギを追って穴ぼこに落ちてからしばらくは、薬を飲んで体のサイズを調整したり、いかれたティーパーティーに巻き込まれたりと、原作をなぞったエピソードも登場しますが、そこから徐々にアリスと仲間たちが赤の女王の独裁体制に対して反旗を翻し、白の女王の助けを借りてアンダーランドに平和をもたらそう、という展開になっていきます。
また、もう少しで成年という年齢だけに、アリスはアンダーランドに距離をおいたスタンスで、冒険の途中まで「どうせ夢なんだから怪我をしようと何をしようと自分の手の内にある世界だ」というような冷めた調子なのですが、それがハッターや不思議の国の住人たちと関わる中でだんだん変わっていく様子を追っていくのも面白いと思います。

以下はネタバレを含む感想。
見どころとしては「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」に登場するアクの強いキャラクターが入り乱れ、それぞれが活躍をみせる中、やはり中心となるジョニー・デップ扮するマッドハッターの存在感はピカイチ。バートン監督いわく「マッドハッターというキャラに深みを持たせたかった」とのことで、マッドといいつつ見た目以外はだいぶまともで、アリスと持ちつ持たれつ奮闘。また、インパクト絶大、頭のデカさがコンプレックスになっている、ヘレナ・ボナム=カーター演ずる赤の女王のヒステリックでどこかユーモラスな立ち居振る舞いも目を引きます。
他にも、バンダースナッチやジャバウォッキーなど、原作では劇中の詩などの中だけにいた謎のモンスターも実際にアリスの目の前に姿を現し、物語の重要な役割を担っている部分も魅力。個人的には白の女王役、ある種独特な顔立ちのアン・ハサウェイが、ほぼそのルックスとフワフワした動きだけであの世界にぴったりハマっていたのが興味深かったです…好きな女優さんですが。

何より、3D版では目の前まで石ころが転がってきたり、チェシャ猫がぐるぐる回って現れては消えたり、アブソレムの吹かす紫煙がスクリーン中に立ち込めたり、3月ウサギの投げつけるティーポットがこちらに向かって飛んできたり、アリスがバンダースナッチに乗って走る中、木々の枝がバチバチぶつかってきたり、アリスの肩でチョウチョが舞い飛んだり…といった場面の数々が、特に臨場感を持って迫ってくるあたり、なかなか楽しめました。
ただ上述の通りで、場面によってはアリスの顔色が青ざめてるように見えたりもするので、自分は時々メガネを上げて画面を眺めたりもしてました。

そして、若干ながら観ていて違和感のあったところもありました。例えば、アリスが戦うのは良いとして、甲冑つけて剣持って、という流れは、ちょっと正面突破過ぎるというか、勇ましすぎないかなとか。アリスが勝負に勝ち、敗れた赤の女王に容赦がないのは、まあディズニーらしいけど、それはそれで、あれだけイカツイところを見せつけた赤の女王には姉としての威厳を出してくれるか、反対に、「ごめんなさい、もうしません」というしおらしさで白の女王と和解、といった具合に締めて欲しいような気もしましたが、とどのつまり、ファミリー向けとはいえ、話の中にチラッとでも悪役が悪役になっていかざるをえない宿命的な何かを垣間見せて欲しかった、というのが本音として率直に感じる部分でした。

しかしながら、肩の力を抜いて楽しむことが出来る作品として、また鮮やかな色彩感を味わえる映画(それには2Dでの鑑賞を!)として、原作を知らずとも最後まで飽きずに観ることが出来、愛読した人ならより細かな要素にニヤッとできるような一本かと思います。

【参考】アリス・イン・ワンダーランド - Wikipedia

2010年4月23日金曜日

「第9地区」を観た

公式サイト

2010年アカデミー賞にて4部門にノミネートされた「第9地区」(原題「district 9」)。
平日の夜ということもあって客席こそまばらでしたが、なるほどひと筋縄ではいかない、様々な部分で想像を膨らませてくれる良質なSF映画でした。上映時間は111分、字幕は松浦美奈さんです。

観客の視点としてはドキュメンタリータッチの映像が中心となっていることもあり、最初はMNU側の立場に添って物語に入っていくので、エビの異形さはただただモンスターという印象だし、スラム化した第9地区の不衛生な環境なども相まって、とにかく不気味。
字幕こそついているもののエビの声は基本的に「ゴゴ、ゴゴゴ」という音声のみで、また怪力で簡単にMNUの兵士を殴り殺したりするので、粗暴さ、わけのわからなさの方が際立っている。

しかし、ストーリーを追っていけばいくほど感情移入の方向は、MNUではもちろんなく、主人公・ヴィカス、または彼以上に宇宙人のクリストファー親子へと向かうようになっていると思う。
これは親子が他のエビと比較して非常に高度な知能を持っていること、穏健路線を重んじる平和主義者であること、そして無邪気な子供エビの振る舞いなどに、否応なしに引き込む魅力と勢いがあるからかも。

人間対宇宙人の戦いをステレオタイプに描くのではなく、アバターと通じるような、未知の存在との共存というテーマもあり、しかし同じ人間でもMNUとギャングでは双方エビを利用しようという目的は同じだが、利害や手段においては対立していたりするし、エビはエビで、彼らなりに環境への順応をしつつ、故郷に帰ることを目的とする者もいたりで、それぞれの思惑が色々入り交じっている感じです。

もっとも、面白いだけに、惜しいなあと思うところもあります。
MNUの面々がいかにも悪役のための悪役に過ぎ、ひとりくらいヴィカスの側へ寝返ったりする社員がいる方が幅が出てきそうだし、クリストファーはエゴを振り回すヴィカスに甘すぎる気もするし。
あと、ヴィカスの奥さんがどうも中途半端な存在。彼が電話をかけるシーンあたりでの奥さんの態度を見ていると、ヴィカスがそこまで帰りたい!といきり立つほど幸せな家庭なのかなあという印象が少しした。

とはいえ、見どころとしては、ストーリー序盤でエビの卵に火をつけて、そのはぜる音をポップコーンに例えて笑っているヴィカスがどう変わっていくのか、という部分につきます。
というのも本作の根っこは、ドキュメンタリータッチでありつつもヴィカスの物語にあるので、やはり落とし所もそこへ向かっているのですが、彼を取り巻く他のグループも注意深く見てみれば見るだけあれこれ考える要素が際限なく広がっていくような、もっともっと作品の世界を探検したくなる雰囲気も随所にちりばめられた映画でもありました。

シャルト・コプリーの実に人間臭い演技も本当にお見事だったと思います。そして最後に、あのエビの、グロさにも愛らしさにも転じる絶妙なデザイン…その動き、目の表情にはすっかり魅了されました。
シリーズ化あるかな?期待してます。

【参考】第9地区 - Wikipedia
【参考】シャルト・コプリー インタビュー

2010年4月18日日曜日

Herb Alpert & the Tijuana Brass『Collector's Edition』を聴く

photo
Collector's Edition
Madacy Special MKTS 2008-08-19
by G-Tools , 2010/04/18

ハーブ・アルパートの音楽に自分は、いつもどこかしら「おやつ」的なものを感じます。ラウンジ・ミュージックとして取り沙汰されたり、BGMとしてテレビ・ラジオ問わず、あちこちで耳にする機会が多かったりするけれど、その音楽をバックにすると、あらゆるものが彩り豊かな世界にみえてくるから不思議です。

こちらのCollector's Editionは『Whipped Cream & the Other Delights』『Going Places!!』『What Now My Love』の3枚をパッケージしたボックスセットなのですが、クッキー箱のようなオシャレな缶のケースで凝ったデザインながら値段は2,000円台、しかも耳馴染んだ名曲が殆ど収録されているというお得仕様で、ポップ・インストゥルメンタルファン必聴の内容。

一枚ずつ紹介していくと、『Whipped Cream & the Other Delights』の方はビートルズのカバー#1「蜜の味」に始まり、オールナイトニッポンを聴いた方なら知らない人はいないあの#4「ビタースイート・サンバ」、TBSラジオでの毒蝮三太夫さん司会でお馴染みのミュージックプレゼントのオープニングで使用されている「ホイップクリーム」のハーブ・アルパートバージョン#6といきなり名品ぞろい。ジャケットのクリームまみれにドレスアップされた女性の姿も官能的ながらポップで素晴らしい。

『Going Places!!』は#1「ティファナ・タクシー」、#4「スパニッシュ・フリー」、#6「第三の男」、#7「ウォーク・ドント・ラン」、#12「その男ゾルバ」と、これまた豪華なナンバーが並ぶ。こうして聴いていると、やはりこうも滑らかで柔らかいトランペットの音は唯一無二なのではないかと思わざるを得ない。

『What Now My Love』はフラメンコギターのイントロから始まるタイトル曲の#1からいきなり心地よい。#3「Memories of Madrid」、#5「So What's New」、#6「Plucky」、#7「Magic Trumpet」、#9「Brasillia」あたりが個人的には好み。トランペットもさることながら、アンサンブルにおいて軽やかに転がるマリンバがかなり重要なパートを占めていることにも気がついた。

近頃聴くことの多い音楽がデジタル色の強いものが多いだけに余計に感じるのかもしれませんが、例えば冒頭に少し書いたように、ラジオ、とりわけ音質の部分で制限のあるAMラジオから聞こえてくることを考えると、親しみやすいメロディがデンとセンターにあって、しかも軽やかでリズミカルなハーブ・アルパートの音楽って本当に相性が良いんだなと思ったりしました。

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