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2011年5月4日水曜日

「トゥルー・グリット」を観た

コーエン兄弟の最新作「トゥルー・グリット」を観てきました。
タランティーノが2010年のベストに挙げてもいるというこの映画…
それも実際に観れば納得、すっかりその世界に惹きこまれます。
今年のアカデミー賞では多数の部門にノミネートこそされながら無冠だったものの、
だれることのない密度の濃い内容と、しみじみとした余韻に浸れる良作です。

「クレイジー・ハート」でも感じましたが、ジェフ・ブリッジスはホント、
凄腕の呑んだくれ親父を演じると実にピッタリはまりますね。
アクの強い口調に法廷でののらくらした態度、マティやラブーフとの会話、
ひとたび銃撃戦となれば瞬時に鋭さを増す隻眼の凄み…さすが貫禄あります。

マティ役のヘイリー・スタインフェルドはどこかしら蒼井優を思い起こさせる雰囲気が。
正直美人ではありませんが(劇中でギャングに「ブサイクな娘」とまで呼ばれてたのは気の毒…)、
彼女でなければマティのクールな立ち居振る舞いは出せなかっただろうなと思います。

テキサス・レンジャーとして虚勢を張ってるところもありつつ、人の良さを時折見せるラブーフ。
ヒゲのマット・デイモンは初めて見たかも知れない…こういう役もいけるんだと感心。
ルースターとのやり取りは当人からすれば真剣そのものだろうが、
どこか気の抜けたような、おかしみが漂っているのもいい。
決闘シーンで彼がカービン銃を射程を上回る距離で命中させる場面はなかなかの名シーン。

そしてギャングの親玉・ネッド役のバリー・ペッパーも個性が迸ってます。
それはもう、仇役であるチェイニーの存在がすっかり霞んでしまうほどで、
何しろ羊の毛皮つきのジーンズ姿がキマってて良いです。
特にマティの顔を足蹴にしながら、ルースターに向かって唾をまき散らして怒鳴りたてる姿は、
正に野卑そのもの、最期の倒れ方までカッコ良く、ワイルド・ガンマンの風合い。良い。

それにしても、ちょっとトラブるとすぐ訴訟に言及するマティですが、
この辺りは開拓時代の過渡期を表しているのでしょうか。
また、気になったのは、ルースターがインディアンの子供らを執拗に蹴り飛ばす場面。
そういえば冒頭での罪人の絞首刑シーンにおいても、白人の囚人には辞世?の言葉を認めていたが、
インディアンには何も喋らせず処刑…という扱いなんかを見ても、
あれは彼が住むフォートスミス(Wikipedia)の土地柄との兼ね合いからかも?

満点の星空の下、マティを助けるために必死に馬を走らせるルースターの姿は感動的。
それから25年の時が過ぎ、エンディングで登場するワイルド・ウエスト・ショーの看板、テント。
一つの時代の終わりを示唆していることもあり、観終えた後はほのかな郷愁が残ります。
ルースターの心に応えるように、独身を貫いたマティ。
彼女も彼と同じ、トゥルー・グリット(真の勇気を持つ者)だった。

日本人としては、どうしてもアメリカの歴史に疎いもので、
本作のみならず、この時代そのものの細かなニュアンスがピンと来なかったりしますが、
こちらで町山智浩さんの解説を見ておくと、時代背景や人物像をより具体的に掴めるのでおすすめ。

解説の中にはチェイニーの捉え方など、若干映画の中での出来事と食い違った話もありますが、
ルースターが過去に南軍ゲリラとして奴隷解放派の民間人の虐殺に関係していた事や、
マティの「無償なのは神の慈悲だけ」というプロローグの言葉、
エンディングで流れる「Leaning on the Everlasting Arms」(YouTube)が使用されている意図など、
さまざまな部分から映画全体を俯瞰するテーマを頭の隅におきつつ鑑賞することができて、
より深くこの作品を楽しめると思います。

最後に…ユダヤ系アメリカ人であるコーエン兄弟がこの映画において、
報復を決して肯定しない、という姿勢をかなり明確にしているところは印象的です。
オサマ・ビンラディン(ちなみに彼にアメリカがつけたコードネームは「ジェロニモ」)が死んだ今だけに、
またさらに考えさせられるものがありました。

【公式】映画『トゥルー・グリット』オフィシャルサイト
【参考】トゥルー・グリット - Wikipedia

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