2010年9月25日土曜日
人の死の傍らに寄り添う猫・オスカー
認知症や末期がんにかかったお年寄りが入院する病院で、
医師を勤める著者が語る、そこに暮らす不思議な猫の物語。
ステアーハウスで飼われている猫のオスカーは人懐こさこそないが、
死の床でやがて旅立つ患者を感じ取り、死ぬまで添い寝をする。
明らかに先の長くない患者に限らず、医師でもわからないような、
突然の死がおとずれる患者の元へも、オスカーだけが気づいて寄り添う。
そして、それが間違っていたことはないという。
本にある愛らしいオスカーの写真を見ても、別段その辺にいる猫と変わらないが、
病院にいる猫の中でもオスカーだけがそうした特殊な能力を持っていて…
当初は懐疑的だった著者も、同僚のメアリや複数の遺族らの話から、
やがてそれを信じざるを得なくなっていく。
動物好きであるかないかに限らず、
臨終の際にオスカーが側にいてくれたことを感謝する声は、
本の中だけでも非常にたくさん出てくる。
ここで描かれている病床で添い寝するオスカーの様子は、おかしな表現だが、
とても献身的で、また、死を厳粛なものと受け止めている風にも感じられる。
動物と会話することはできないけれど、
それでもコミュニケーションができた!と根拠もなしに確信することがある。
もしかしたら人も猫も何かにふれた時に同じ気持ちでいる瞬間が、
思ったよりずっとあるのかもしれないと、この本を読んでいて感じました。
ふと、ある曲の歌詞を思い出した…サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」(歌詞)。
不思議と重なるものがあって、なんだかジーンと来ます。
ちなみに、現在公開中の映画「ネコを探して」(公式サイト)にも、
オスカーが出演しているとのこと…上映されている映画館が少ないのが厳しいところですが、
機会があれば是非観に行きたいと思います。
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